PANTERA Review 03 … ケツドリルでメタル界をぶっ挿してやったぜ【FAR BEYOND DRIVEN(脳殺)】

歌謡曲が大好きな私ですが、時にはそれ以上にメタルが大好きになることが時たま起こります。ストレスが蓄積した時とか、むかついて仕方がない時に愛聴する精神安定剤のような存在であるメタル、気が向いたら名盤をレビューしていきたいと思っています。まずはPANTERA様だ!逃げんなよ!

1994年3月にリリースされたメジャー3rd、インディーズから通算すると7作目にあたる「FAR BEYOND DRIVEN」。直訳すると「はるかに超えた」とか「超越」という意味だと思うが、邦題はアルバムジャケット(検閲済の青いやつ)に描かれている「ドリルを脳天にぶっ挿された人」そのまんまの「脳殺」。ちなみに「パンチラ」と「悩殺」をそれぞれかけた、言葉遊びのギミックに秀逸した邦題は言うまでもない。

この青バージョンのジャケットも良く検閲が通ったな、と思わずにはいられないが、Uncensored Version、つまり検閲前のジャケットがこちら。


分かりにくいので拡大。

通称「ケツドリル」と呼ばれている悪趣味極まりない極悪な一発。しかもウンコ色だし。
当然検閲は下りず、比較的Uncensored Versionに寛容な日本でも、このジャケットは不採用になった。

時期的には前作「VULGAR DISPLAY OF POWER」で商業的な成功を収め、「VULGAR VIDEO」This is the way that we live!!!!!と言わんばかりに我々に彼らの生き様を見せつけ、そしてPOWER METALなる新たなジャンルのメタルシーンを開拓して後に続くフォロワーを生み出した、バンドの歴史上最も勢いがあった頃である。

前作に備わっていたキャッチーさは影を潜め、ひたすら重い。「重さ」を追求するにはどんな手段も問わねーぜ!と言わんばかりに、ただずっと全部重い。いったい何故、どうして貴方達はそんなに重さを追求するんですか?と言いたくならんばかりに重い。そしてバンドの勢いに乗じて、な、なんと全米初登場首位という金字塔までも打ち立ててしまうほど、重い。

ちなみにこのアルバムを引っ下げて、日本にも遊びに初訪問。後に海賊版としてこのライブの音源が非公式ながらCDでリリースされるのだが、収録されている「FUCKING HOSTILE」での日本人の「あっきんおすたぁぁぁ」というヘロヘロ具合に脱力感半端ねえ。こいつに無理やり振らせた歌ってもらったアンセルモちゃんもきっと後悔したはず … ということで、もちろん視聴も全曲付けちゃってレビューしちゃうぞ!押忍!聞け!いや、逃げずに聞いてみてください。おなしゃす!






Track 01.【STRENGTH BEYOND STRENGTH 超越力】
オープニングを飾るのは、まるでジャケットを忠実に再現したかのような、アンセルモちゃんの怒号がドリルの如く脳天に炸裂する激烈スラッシュチューン。事実上のアルバムリードトラックで、ヘドバン必須なナンバー。途中、曲に緩急を付けるために大幅にテンポダウンする箇所もあるが、基本的には首尾一貫、徹底的にスラッシュしているという位置付けで良いだろう。

初めてCDの再生ボタンを押した時「おっ!いきなりスラッシュじゃん!やったぜ!」と、当時「速さ」ばかりを求めていた私は狂気乱舞していたが、このあと全てミドルテンポで重いという地獄が待っていることなど露知らず。今は普通に聞けるけど、当時は本当にきつかった。この曲以降聞くのが。

星は当然★★★★★。大好物。


Track 02.【BECOMING (神の領域に)なれ】
イントロのタッタカ「キュン」タタタ、タタ、タッタカ「キュン」タ、タタタ~という「キュン」というワーミーなギターリフが耳に残るが、ドラマー的には同じくイントロのバスドラムのツーバスが変則的過ぎて、ヴィニーお嬢様の持っているリズム感とかいったいどうなってんの?と思うほど変態的なフレーズが気になり、そして最後まで習得できなかった。頭では分かってるつもりが身体が言うことを聞いてくれなかった。サビのハイハットとライドシンバルを交互に刻む16分のフレーズが、今聞いても何かダサく腑に落ちない。

星は★★★★。ここまではまだ何とかノレる。


Track 03.【5 MINUTES ALONE 5分だけ放っておいてくれ】
この曲から「ヘビィなミドルテンポ」が続いていく。ガシっとしっかりした演奏陣を従えて、アンセルモちゃんの砲哮は止まることを知らずに突き進む。基本的なドラムパターンは「COWBOYS FROM HELL」とほぼ同じで、ツーバスはアクセント的にほんの少し使っている程度。あとこの曲、Aメロのリズムが取りにくい。これはもう譜面に起こして納得するのではなく、身体で覚えるしかないパターン。

星は★★★★★。年を喰って嗜好が変化した。
若い時ならば★2つが精一杯の評点。


Track 04.【I'M BROKEN ぶっ壊れた私】
前の曲と似たような感じの曲。この曲もAメロのリズムが取りにくい。ライブでは曲の最後を演奏したあと「BY DEMONS BE DRIVEN」のユニゾンリフで締めるのが後に定番となった。

星は★★★。


Track 05.【GOOD FRIENDS AND A BOTTLE OF PILLS 良い奴だよ、ピル1つあげたらFUCKできんだぜ】
何なんだこの曲。適当にジャムって録音したような感じか。ここで一旦小休止、ブレイクポイントな扱いだと思うが。呪文のように呟くアンセルモちゃんのラップみたいな歌と3連のリズム、そしてサビはこれでもかというくらいに叫ぶお得意の「Fucking」攻撃は意外と癖になる要素がある。

星は★★★。


Track 06.【HARD LINES, SUNKEN CHEEKS ざまあねーぜ、そのこけた頬】
唯一この曲だけスキップしてしまうほどアルバム中盤で最もダレる曲。テンポチェンジが激し過ぎてちょっと気分が悪くなってく … 聞くの止めます。

星★。


Track 07.【SLAUGHTERED 屠殺】
アルバム中盤から後半において、ヘッドバンカーにとってキラーチューンな数少ないノリの良い曲。とにかく曲全般でバスドラが忙しく動き回る曲で、途中の3連にリズムチェンジした時のドラムの癖は、いかにもヴィニーお嬢様らしいプレイがキラリと光る技巧。

あとこの歌、実は空耳があるんです。サビ前に。一応空耳アワーに送ってみたんだけど、ソラミミストの耳には止まらず、見事に不採用になりましたけどね。


"For your sacred sow is left. Slaughtered.
坊や、しきっちゃうぜ、座れぇぇぇぇ!!!!!"



また送ってみようかな …

星は★★★★。


Track 08.【25 YEARS 俺の25年の人生】
確かアルバムの中で一番最初に完成した曲で、ライブでもいち早く披露した曲だったと記憶している。「25年」というのは多分、アンセルモちゃんの当時の年齢のことを指すと思うので、自叙伝的な歌になるのかな、と。

前半はアルバムの中でも最強にスローでヘビィ。うねりまくるダレルさんのギターと、レックス兄さんのぶっといベース、そしてヴィニーお嬢様のタイトながらも「らしさ」を忘れない装飾的なバスドラを取り入れたドラミング。そしてアンセルモちゃんが放つ「Don't Touch Me」 … い、いや … 決して関われませんよ、今の貴方には。そして、曲終盤にテンポアップするところが、今までの苦悶を一気に解放したような感じがして心地良い。

ちなみに私は、このテンポアップしたところから次曲の「SHEDDING SKIN」がはじまると捉えているので、音源もそのように変えています。

星は中盤以降では唯一の★★★★★(SHEDDING SKIN含む)


Track 09.【SHEDDING SKIN 俺は脱皮する】
PANTERAの楽曲には「蛇」を彷彿させるキーワードがいくつかある。自分が生まれ変わりたい気持ちを「蛇が脱皮する」ことに掛けているんだろうか。歌い出しにおける、ダレルさんのクリアトーンのエモーショナルなギターに、1stの頃の面影を彷彿とさせる。

一糸纏わず一定のリズムを刻み続けるタイトな前半から中盤に対して、突発的なテンポチェンジを経て訪れる後半部がやばいほど攻撃的。今まで均一に保っていた何かが一気に崩れ去るような、とにかく感情の起伏がこのアルバムの中では一番激しいナンバー。このテンポチェンジは本当にやみつきになる。そしてミディアムテンポのツーバスがラストまで延々と続くのだが、これがかなりリズムをキープするのが難しい、ていうかどうしても走ってしまいがちになる。メイデンのドラマーだったらワンバスでやっちゃいそうだけど。

星は当然★★★★★だ!


Track 10.【USE MY THIRD ARM 俺の奴隷を利用しろ】
THIRD ARMを「第三の手」と訳すか「奴隷」と訳すか正直なところ迷うが、どちらにしろ良い意味では使ってないと思うのでどっちでも構わん。

ライブでは比較的良く演奏された曲で、この曲もやはりヴィニーお嬢様のミディアムツーバスが炸裂するナンバー。サビの裏を取るスネアとバスドラの3連コンボなんか絶対無理っす。できません。普通に連打した方がラクだよ。

曲の最後に徐々にテンポアップしていき、アンセルモちゃんの「ぎゃー」という断末魔は、まるで「呪い」をかけられてるような錯覚に陥ってしまう。

星★★★


Track 11.【THROES OF REJECTION やめられない止まらない】
タイトなリズムを刻むベースとドラム、そして「苦悶」を表すようなワウが入ったギターが、これからはじまる不穏な時を暗示しているかのようで、至極不気味。曲が持つインパクト的には他の楽曲の方が強烈だが、地味ながらも印象に残るナンバーである。

曲の最後の部分はライブでは何かの曲と繋げて演奏していたのだが、その繋がった曲が思い出せない。何だったけ … う~ん。一応PANTERAの楽曲はしっかり覚えているつもりなのだが … 時間がある時に調べてみます。

星は意外と★★★★。


Track 12.【PLANET CARAVAN 惑星キャラバン】
BLACK SABBATHの2ndアルバム「PARANOID」に収録されているナンバーをカバーしたもの。
当時のライナーノートにはこんな趣旨の説明文が記載されていた。


俺達が好きだからカバーしただけだ。これを聞いて悩まないでくれ。愛してる。"



エモーショナルなアンセルモちゃんの歌声を堪能したい人は必聴、アンセルモちゃんの砲哮を愛してやまない人はさっさと飛ばしやがれ!もちろん私は後者なので星★のみ。


Track 13.【THE BADGE 象徴】
日本盤のみに収録されたPOISON IDEAというバンドの曲をカバーしたもの。ほぼ原曲に忠実にカバーしている。確か映画の主題歌か何かで使われたような記憶があるが、正直曖昧、というか別に今更どうでも良いのでこのまま放っておこう。METALLICAの「BREADFAN」やSEPULTURAの「POLICIA」みたいな扱いの曲位置。

星★。




FAR BEYOND DRIVEN(脳殺)/PANTERA
01. STRENGTH BEYOND STRENGTH … ★★★★★
02. BECOMING … ★★★★
03. 5 MINUTES ALONE … ★★★★★
04. I'M BROKEN … ★★★
05. GOOD FRIENDS AND A BOTTLE OF PILLS … ★★
06. HARD LINES, SUNKEN CHEEKS … ★
07. SLAUGHTERED … ★★★★
08. 25 YEARS … ★★★★★
09. SHEDDING SKIN … ★★★★★
10. USE MY THIRD ARM … ★★★
11. THROES OF REJECTION … ★★★★
12. PLANET CARAVAN … ★
13. THE BADGE(日本盤のみ) … ★
全体 … ★★★★

発売日:1994年3月22日
発売元:Atlantic/EastWest Records America

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