「青いスタスィオン」「再会のラビリンス」と2作連続で続いたローロピアン路線から一旦離れた楽曲。冬寒の夜を彷彿させる無機質なデジタルサウンドに絡む、インドの民族楽器であるシタールのような音色と、スリリングで心の琴線を揺さぶるような弦の音色が「無国籍風」とも言われるサウンドの所以か。

「この先へ進んでしまったら、もう引き返せない恋」を警告するかのような、イントロのスネア音。バックには弦でなく敢えて合成ボーカルであるVOXを入れることによって、緊張感とスペーシーな無機質感に満ちたサウンドに仕上げた。また「予想もしない転調(ホ短調→ト短調)」が曲にドラマティックな効果をもたらし、ガラりと曲の世界観が変わるのを上手くサポートできたと思う。

歌メロに採用した楽器はハーモニカ。インパクトとしては幾分パンチが弱いと感じだが、これはこれはまあまあな選択。サビの重厚なコーラスはストリングスで対応した。最も、どの曲もコーラスに関してはストリングスで代用することが圧倒的に多いが。また、元曲ではほとんど目立たないカッティングギターを、中低音の響きを重視した強めのカッティングに敢えて変えることで、曲がグッと締まったと思う。

この曲も「青いスタスィオン」同様、当初は最低限の音色で構成されたソリッドなアレンジだったが、musesxoreの習得によって使用する楽器が増え、最終的には「出来るだけ元曲に近いものにしよう」と思い、このような形になった。

最後に、曲の途中で小節と小節との間が上手く繋がらない現象が生じているが、これは飛び飛びの小節にスラーがかけられないというmusescoreの特性によるもの。以降、なるべくこうならないように反復記号を挿入するようになりました。

出来栄え:★★★★★★★★★☆(リアレンジにより★増加)

杉良太郎ばりの「流し目」でアダルトさ全開。

Data
O社

  • B面:やさしさなんていらない
  • 発売日:1986年10月22日
  • 初週売上:74,960枚
  • 累積売上:127,860枚
  • 最高位:1位

ザ・ベストテン

  • 1986年11月06日 07位 6,397点
  • 1986年11月13日 08位 6,193点
  • 1986年11月20日 12位 5,629点
  • 1986年11月27日 20位 3.260点

前作「再会のラビリンス」で半分以上のセールスダウンを起こしたが、今回は約4万枚の減少に留めた。最終的な累計売上は12.8万枚だが、初動売上の高さにより今作も初登場首位を難なく獲得。そして河合その子にとって最後の首位獲得作品となった。

一方でベストテンはというと、初登場7位、2週連続ランクインに終わった。最もこの時期は「おニャン子出演拒否」にあたるので、ベストテンでの歌唱はなし。ちなみにこの曲から「哀愁のカルナバル」「JESSY」の3作が連続して最高7位となる。

また、トップテンでは最高2位まで上昇し、バンバン番組で歌唱披露した。しかしまあ、この差は一体何なんでしょうね …

この頃から本来備わっている歌唱力を如何なく発揮し、当時「蟻んこ」と揶揄された衣装や振付など、良い意味でも悪い意味でも河合その子独自の世界観が展開されていきます。

個人的には「青いスタスィオン」でヨーロッパの何処かの国に旅立つ彼の後姿を、地元の小さな駅で見送るも、やはり彼に会いたいという一心で、成田から飛行機で彼住む国へ向かった「再会のラビリンス」。しかし居るはずの彼の姿はそこには無く、失意のまま日本に戻って自暴自棄になってしまった「悲しい夜を止めて」という三部作になっている、というのは考え過ぎだろうか。

これが本来の正当な評価です。