後のシングルのレパートリーに組み込まれる、激渋な3連ロッカバラード調の楽曲。この曲がリリースされた30年以上前の時点でも、既にひと昔もふた昔も前の古い曲調だが、生音を中心にしつつもシンセを多用したアレンジによって、そこまで古臭さを感じることはない。

この頃からグッと歌唱力が向上してきた工藤静香だが、その歌声を表す最適な楽器として瞬時に思い浮かんだのが、トランペット。こういった3連ロッカバラードの楽曲でトランペットが響くと、「遠くから聞こえる汽笛」のように聞こえる音こど、この頃の工藤静香の歌唱を表す楽器としてはドンピシャだ。

初の3連、音がシャッフルするタイプの譜起こしということで、musescoreの操作には随分と手こずった。また、当初は「シンプルにアレンジすること」をモットーに採譜していたが、この曲に関しては「端折る楽器が全くない。どのパートも欠けたら曲として成立しなくなる」ということで使用する楽器がみるみる増加していった。自己流のアレンジを挟みはじめたのもこの曲あたりからである。

出来栄え:★★★★★★★★☆☆(まあ、良し)

当時高校生。学校帰り、制服のままレコーディングに挑んだそう。

Data
O社

  • B面:夜明けに見送られて(とても工藤静香とは思えない爽やかな名曲)
  • 発売日:1988年3月2日
  • 初週売上:43,320枚
  • 累積売上:181,550枚
  • 最高位:3位
  • 1988年年間第42位

ザ・ベストテン

  • 1988年03月17日 06位 6,665点
  • 1988年03月24日 11位 6,393点
  • 1988年03月31日 12位 5,993点
  • 1988年04月07日 14位 5,196点
  • 1988年04月14日 13位 5.068点
  • 1988年04月21日 15位 4,335点
  • 1988年年間第69位 43,358点

前作に引き続き最高3位ながらも、ロングヒットにより地道に売上を重ね、最終的には約20万枚に迫る18.2万枚を売り上げた。そしてまたしても、初登場首位を譲った相手が南野陽子の「吐息でネット」(しかも2週目)。両者の遺恨はこの辺から来ているかもな。

ベストテンには1週のみのランクインだが、20位から11位以内に5週ランクインする粘り強さを見せ、累計では4万点代を叩き出した。後にこの年の年間ベストテンに「無言」が6位にランクした際、「抱いてくれたらいいのに」が1週しか入らなくて正直悔しかったけど、今となってはもうどうでもいいや」なる発言もあった。

本人が「持ち歌の中で一番大好きな曲」と公言したように、工藤静香を語る上では欠かすことのできない重要な曲であり、以降、同様なタイプの楽曲を数枚リリースするが、圧倒的にずば抜けた名曲度を誇るのがこの曲となる。

そして何といってもこの曲、歌い出しである5/4拍子の♪(うん)、抱いてくれたら、いいのに~のインパクトが強烈過ぎて、この歌い出しのために曲があるといってもおかしくない程。特にコンサートにおいてはファンが一緒に「俺の声が静香に届け!」と言わんばかりに、全身全霊を捧げて絶叫していた印象がある。ちなみにこの歌い出しの部分、歌い出し以降数回現れてくるフレーズだが、この時はあまり絶叫はなかった。何故だ?

ちょうど同時期に、本格的に活動を再開させたうしろ髪の「ほらね、春が来た」もベストテンヒットになったが、この曲のロングヒットを境にユニット活動も縮小していき、契約消化のようなシングルをリリースしてフェードアウトすることになる。

この「してやったり」という表情から肝の座りが半端ないということが分かるかと。